新編・伊勢物語 第二百十八段 蓄音機 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第二百十八段 蓄音機

昔、男ありけり。 今も男あり。

その男、ある時 蓄音機の関心を寄せ 

歌を

 レコードを 初めて聴きしは いつならむ

   「雪の降る街」 ただに懐かし

 友の家に 蓄音機ありて 古き古き

   SP盤は 七十八回転

 朝顔の 花の形の 喇叭より

   聞こえ来し音 雨ばかりなりき

 須磨子唄ふ 「カチューシャの唄」の 評判は

   世に蓄音機 ありて拡まる

 蓄音機 国産一号は 岡崎の

   中条勇次郎と いふ人なりき

 蓄音機 初めてつくりしは 時計屋の

   人にて明治 二十四年のこと

 エジソンが 自らの声に 吹き込みし

   「メリーさんの羊」 いかな音せしや

と 詠み 蓄音機に始まる音楽再生機器の歴史を思ひ

自らを古きアナログ人間と思ひけり。