新編・伊勢物語 第二百十七段 風船 星原二郎第二百十七段 風船 昔、男ありけり。 今も男あり。 その男、平成二十八年の五月晴れ青空を風に乗り 漂ふ風船を見やりて、諸々のしがらみにしばられゐし 己が身を思ひ歌に 大空に 風船ひとつ 風まかせ かがづらふ世を あくがれてゆく と 詠み 見送りけり。