新編・伊勢物語 第二百十六段 高志の勾玉 星原二郎第二百十六段 高志の勾玉 昔、男ありけり。 今も男あり。 その男、古代の勾玉に興味を懐きけり。 何の目的にて作られしか定かならねど、自らの身に佩きて 謎解きに挑みければ歌に 高志(こし)の国 姫川産の 翡翠にて 勾玉美(は)しく 今に輝く 磨かれて 孔穿ちては 気の遠く なるほどの時 かけて作らる と 詠みしかど お守りか装飾かの 根本的存在理由すら、己を納得させる 回答を得られず、謎は深まるばかりなり。