新編・伊勢物語 第百九十五段 城崎温泉にて 星原二郎第百九十五段 城崎温泉にて むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、平成のある年のある日 但馬の国は城崎温泉へと女人を率て行きけり。 行きて、歌を 城崎は カラコロカラコロ 下駄の音 外湯を巡る 揃ひの浴衣 城崎の 洞窟風呂に 朝湯して 朝寝朝酒 罰当たりかな と詠みしかど、反省の様子もなく、志賀直哉先生の 短編小説『城崎にて』を読み耽り、放蕩三昧 繰り返しけり。