第百九十四段 湯村温泉にて
むかし、男ありけり。今も男あり。
その男、平成のある年のある日、但馬の国は
湯村温泉へと惚れたる女を伴ひ行きけり。
ここ湯村温泉はNHKの
テレビドラマ『夢千代日記』の舞台なり。
湯量豊富にて、湯上りの散歩に湯の町を巡り
歌を
ここ湯村 『夢千代日記』の 舞台にて
いまも『荒湯』は 熱く湧きつぐ
湯村生まれの 前田純孝とふ 歌詠みも
よき歌詠みしが 肺病み夭折きぬ
鼈の 血の酒飲みて 肉食ひ
君をいだかむ ちから漲る
と詠み、女優の吉永小百合とも、そふいへばどことなく
似通うところのある女人との夜を過ごしけり。
鼈の効果絶大なり。