第百八十七段 なんじやもんじやの花
昔、男ありけり。 今も男あり。
その男、明智の里になんじやもんじやの花を賞でに
行きけり。英名は「スノー・フラワー」。
その名の如く真っ白の花 見事なり。
天然記念物の名に恥じぬと思ひければ
歌を
車窓より なんじやもんじやの 花見えて
カーブ曲がれば 明智の町か
新緑に 真白の花は 耀ひて
なんじやもんじやの 盛りなりけり
夏ごとに 山の棚田に 苗植ゑて
幾世経り来し 明智の里びと
石畳の 道を歩へば 大正の
御代は知らねど などか懐かし
と 詠み かつ写真に収め賛へけり。