新編・伊勢物語 第百八十二段 智積養水 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

isemonogatari2のブログ

ブログの説明を入力します。

第百八十二段 智積養水

昔、男ありけり。今も男あり。

その男、平成二十八年の春の盛りに三重県は菰野町を

川上として、四日市智積町を川下とする智積養水へと

行きけり。行きて歌を

 (かみ)(しも) (ひでり)づけど 涸るるなき

   この水もとめ 村争そひき

 長き日日 水争ひを 続け来し

    村の境に 立つ石仏

 この水に いのち養ひ 暮すゆゑ

   「智積養水」と いふ用水かな

 御在所の 山の湧き水 豊かにて

   (すく)へば冷たし 飲まざらめやも

 錦鯉 大小あまたを やしなひて

   豊かに流るる 智積養水

と、詠み、水争ひにて犠牲となりし者を弔ふ為に

建立されたであろう石仏に掌を合はせけり。