新編・伊勢物語 第百七十八段 竜宮城 星原二郎第百七十八段 竜宮城 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十八年の春のある日、惚れたる女を伴ひ 伊良湖にある海辺のホテルへと行きけり。 ひと夜を共に過ごし、竜宮城の浦島太郎の心地に 歌を 浦島の 海の都は とにもあれ この一室に 過ごす一夜は と 詠み 現(うつつ)の世の中に戻るを拒みけり。