第百七十七段 有終の七
むかし、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十八年のある時期
いつもにまして和歌を詠むのに苦しみ続けけり。
師匠より「和歌は結句が大事」と口酸っぱく言はれ続け
ければ、才能の無さを棚に上げ、結句に拘りけり。
しかして、その苦しみを歌に
五七五 七と続きて 有終の
七を宇宙に 探しあぐねつ
と詠み、結句の七を必要とあらば、世界の涯はもとより、
宇宙の果てまでも探しに行かむ覚悟を持ちけり。
下の句「七が決まらず 地の果てまでも 探しに行かな」
の仏足石歌体が良きかと思ひしかど、推敲纏まらず、
匙を投げけり。