第百七十六段 タンポポの花
むかし、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十八年の晩春
知立市内にありしパチンコ屋の更地となりし跡地に
雑草に混じりタンポポの花を見つけ、歌を
パチンコ屋の 跡地の空き地に 雨降りて
土よみがへり タンポポ花咲く
と詠み、町の中のタンポポの咲く野原に
心和ませけり。またその数日後
雨の日の 朝は寂し タンポポの
莟いづれも 未だ開かず
と詠み、花咲き、綿毛を遠くまで飛ばせと
願ひけり。