第百七十四段 石と岩と巌 花の岩屋神社(前半)
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十八年の桜の花の麗しき頃、南紀の
ユネスコ世界遺産に登録の社寺群の中のひとつ
花の岩屋神社を詣でけり。詣でて、歌を
木の国の 花の岩屋の 長縄に
触れば通ふ 惟神の道
み熊野の 浜の白石に 願書きて
花の岩屋に 吾も納むる
花の時に 花もて祭れと 伝はれる
花の岩屋の 御神体拝む
いにしへの 遥かに遠き 昔より
ひじりどころと 伝はる岩屋
伊邪那美の命を祀る み熊野の
花の岩屋の 高き岩壁