新編・伊勢物語 第百六十五段 安土の秀吉の住居跡 星原二郎第百六十五段 安土の秀吉の住居跡 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十八年の春爛漫の頃 琵琶湖のほとり、安土へと行きけり。 行きて秀吉の住居跡に佇み 歌を 秀吉の 住居の跡は ことのほか 狭くしありて ねね呼ぶ声す と 詠み 若くして頭角を現し始めた意気盛んなる 秀吉が今にも飛び出でて来ぬかとの 錯覚を覚えけり。