新編・伊勢物語 第百五十七段 石と岩と巌 岩割りの松 第百五十七段 石と岩と巌 岩割りの松 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成のある年、蒲郡の形原温泉へと行きけり。 行きて、その海岸にある「岩割りの松」を拝み 歌を 岩を割り 裂き拡げては 育ち来し 三河黒松 いのち逞し 岩を割る 力持ちゐむ 大松に 掌(たなごころ)添へ わけませと祈(の)む と、詠み 三河黒松の持つ生命力の強さに 畏敬の念を抱きけり。