新編・伊勢物語 第百五十六段 石と岩と巌 壺中庵の石庭 第百五十六段 石と岩と巌 壺中庵の石庭 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成のある年、安城は高棚の里にある壺中庵へと 行きけり。行きて自慢の庭を眺めつつ抹茶を頂き 歌を 石庭の 玉砂利白く 海ならむ 二つの岩は 雲を肖(かた)どる と、詠み 京の都の竜安寺のかの石庭にはいささか 劣れども見応へありて、混沌(カオス)と秩序(コスモス)の世界に 心を遊ばせけり。