第百四十七段 石と岩と巌 湯の山温泉の大石公園
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成のある年 三重県は湯の山温泉へと行きけり。
巨岩の転がる三滝川沿ひの道を遡り、大石公園へと着きけり。
大石公園はその名のごとく推定八百トンにして、
日本一の御影石の巌ありけり。その巌の触れて
歌を
御在所山の 三滝川瀬の 大岩に
大石良雄も 惹かれ来しとふ
と、詠み 忠臣蔵にては主役の大石良雄こと大石内蔵助が
仇討ちのため東海道を上りの折に寄りて
【大石が大石】に触れ驚きしと伝はるも
面白しと思ひけり。