新編・伊勢物語 第百四十六段 石と岩と巌 五浦の岩礁海岸 星原二郎第百四十六段 石と岩と巌 五浦の岩礁海岸 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成の東日本大震災の起る前年 北茨城は五浦海岸へと行きけり。 五浦海岸は岡倉天心翁が居を構へしところなり。 五浦海岸の六角堂こと『観瀾亭(かんらんてい)』に籠もり瞑想に耽る 天心翁を思ひ歌を 太平洋の 荒波洗ふ 岩礁の 海岸見飽かず 天心偲ぶ と、詠み 横山大観をはじめ菱田春草らの錚々たる画壇の 重鎮たる集まりの中心に鎮座の岡倉天心翁の存在の大きさを 知らされけり。