新編・伊勢物語 第百四十三段 石と岩と巌 鹿島神宮の要石 星原二郎第百四十三段 石と岩と巌 鹿島神宮の要石 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成のある年 常陸の国は鹿島神宮へと行きけり。 行きて歌を これよりの 百年(ももとせ)地(な)震(ゐ)は 起こすなと 鯰に念じ 要石拝む と、詠み かの水戸の御老公 黄門様が 多くの職人を使ひ数ヶ月かけて掘り出ださむとせしが 終に断念せしと伝はる要石に祈りけり。