第百四十一段 浜名湖の浅蜊
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十八年春の弥生、
浜名湖畔の老舗の宿に泊まりけり。
夕餉の膳には浜名湖産の幸の数多が卓の上、狭しと並べる中
浅蜊の極上の美味さに舌鼓を打ち、歌を
浜名湖の 老舗の宿の 酒蒸しの
浅蜊ぷりぷり 大粒にして
浜名湖の 浅蜊酒蒸し 潮汁
旨ければ朝の 味噌汁もがな
浜名湖の 恵みの夕膳 多彩にて
辛口の酒 呑むべかりけれ
浜名湖の 浅蜊は今が 旬にして
朝の味噌汁 香り来るなり
と、詠み 生れてはじめて朝食の味噌汁の具材に浅蜊を所望し
そに応へ調理の板前と女将に感謝を申しけり。