新編・伊勢物語 第百二十九段 焼野の雉子(前半)  星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第百二十九段 焼野の雉子(きぎす)(前半)

むかし、男ありけり。今も男あり。

その男、平成の或る年の春、次女より秋に初孫

出産予定との知らせを受けて

安産を願ひ安城の城ヶ入観世音菩薩へ行きけり。

観音堂近くに至ると果樹園を囲む網に一羽の雉子

絡まり動けずにゐるを見掛けけり。

その男、雉子を哀れと思ひ救い出しけり。

その後、歌を

 初冬に 吾の初孫 うまるると

   聞きて観音に 祈らむと来ぬ

 安城の 城ヶ入の里の 龍燈寺

   子安観音に 詣で祈らむ

 道すがら 果樹園の網に 絡まりて

   動けぬ雉が (もが)きゐるなり

 絡まりて 未だ間もなく 元気にて

   足掻けど網より 逃れ難くをり

 絡まれる 網を解きやり よく見れば

   羽根に傷なく 放してやりぬ