新編・伊勢物語 第百十三段 長篠合戦の慰霊の祭り 星原二郎第百十三段 長篠合戦の慰霊の祭り 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十八年の寒さ緩みたる頃 奥三河へと行きて 長篠の合戦にて斃れたる多くの武田方の兵の み魂を供養の火祭り「火おんどり」を知り 歌を 長篠に 伝はる祭りは かなしもよ 武田の兵を 今も慰む と、詠み 祭りの取り行はれる八月のお盆の 十六日に再び来むと願ひけり。