新編・伊勢物語 第百十段 鬼の道 星原二郎第百十段 鬼の道 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、三州瓦の産地の高浜へと行きけり。 鬼瓦作りの職人を「鬼師」といふも面白く そぞろに屋根瓦・鬼瓦作りの工場・工房の間の 「鬼の道」といふを歩みて 歌を 高浜の 鬼の道とふ 坂の上 瓦畳は 春の日に照る と 詠み 「坂の上の雲」ならぬ 「坂の上の瓦製の観世音菩薩立像」仰ぎけり。