第百九段 海亀
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、平成二十八年の冬
浦島太郎を竜宮城へと乗せ行きたる亀は
赤海亀?青海亀?のいづれなりやとの疑問を懐きけり。
しからば、海亀の飼育にて世界的に評判の
名古屋水族館へ電話を掛け訊ねけり。
定かなる事、水族館館にても詳らかならざるとの
ことなりしが、海亀のこと、色々と教示をたまひたり。
しかしてその男、しばし海亀に関心を寄せ水族館に通ひ歌を
浦島の 太郎を乗せて 竜宮へ
行きたる亀は 赤や青にや
大海を 漂ふ亀の 一つゐて
自由といふは これのことにや
と 詠み 水族館の海亀に見入りけり。