新編・伊勢物語 第百四段 食牛 星原二郎第百四段 食牛 むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、三人目の孫の食べっぷりの良さを見て 歌を 食牛の 気のある孫と 思ほゆは 親馬鹿以上の 爺馬鹿ならむ と、詠みけり。 食牛とは、中国の古典『尸子(しし)』に 「虎や豹の子は、幼き頃より、大きな牛を倒して 食べようとする気概がある也」に基づく言葉にて 本来は、「幼少の頃より大志や、優れた気性を備へてゐること」の意なりしかど、やはり、食べっぷりの良さを 詠みし歌なれば甘き出来栄えと思ひけり。