新編・伊勢物語 第百一段 悪人正機説 星原二郎第百一段 悪人正機説 昔、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十八年の冬ある日 悲惨なる幼児虐待の新聞記事を読みけり。 読みて、暫く考へ込み、歌を 親鸞の 悪人正機の 説思ひ 今日の新聞の 記事を読み了ふ と、詠み「善人をもて往生を遂ぐ。いはんや悪人をや」 と唱へし、親鸞上人の願ひは八百年を経し今日も 変らざるなりと思ひけり。