新編・伊勢物語 第七十七段 花祭りの里のいで湯 星原二郎第七十七段 花祭りの里のいで湯 むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、奥三河は花祭りの東栄町にある 日帰り温泉へ行きけり。 花祭りともなれば、花見鬼・榊鬼等の 主役を演じる里人もゐむと思はれて 歌を 榊鬼も 赤ら顔にて 浸りゐむ 花祭りの里の いで湯賑はふ と詠み、鎌倉時代より続く伝統の無形文化財 「花祭り」はユネスコ文化遺産登録に相応しき この地方の誇るべき冬の行事と思ひつつ 山里の温泉を堪能せし後 花祭り会場へと向かひけり。