新編・伊勢物語 第七十六段 老眼 星原二郎第七十六段 老眼 むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、平成二十八年の冬 目の衰へを感じ老眼鏡を作りけり。 その時の思ひを歌に 高齢(とし)にして まなこ老いたれ 世の中の やうやう見え来ぬ 面白きかな と詠み、肉眼の衰へは、心眼にて補ふ ではないが、目の衰へに前後し 少しづつ世の中 見えて来しと思ふは愉快なる事と 感じけり。