新編・伊勢物語 第七十三段 寒中の起床 星原二郎第七十三段 寒中の起床 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の小寒の頃の朝 温き布団の中より 出で難くゐて、歌を 明六つの 鐘は起床を 促せど 寒くしあれば 如何に出でなむ と、詠み 勇気を奮い立たせ、布団より出で 冷水にて顔を洗ひけり。