新編・伊勢物語 第七十二段 初富士 星原二郎第七十二段 初富士 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の正月松の内 初富士を拝まむと遠州へ行きけり。 行きて、歌を 初富士は 天竜川の 彼方にて 吉事(よごと)あらむか 空晴れ渡る と、詠み 白妙の雪を頂にいただきたる富士の 厳かなる姿を拝し 古来より崇め来しわが民族の心の故郷と思ひけり。 また、民族の永生の象徴とも思ひけり。