新編・伊勢物語 第七十一段 正月の空 星原二郎第七十一段 正月の空 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の正月、晴れ渡りたる 青空に珍しく奴凧の高く揚がりゐるを眺めけり。 歌舞伎の名科白の「こいつぁ春から縁起がいいゃ」を 思ひ浮かべて 歌を 正月の 青空高く 揚がりゆく 奴凧あり よき年ならむ と、詠み この年を寿ぎけり。