新編・伊勢物語 第七十段 今年の初夢 星原二郎第七十段 今年の初夢 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年正月二日の未明 夢を見にけり。 つまり、この年の初夢なり。 夢より覚めて歌を 初夢に 瀕死の馬を 助けにき 嘶き去れば 吉事(よごと)あるらむ と 詠みけり。 昔より鶴でも恩返しあると知れば 鶴より賢き馬のこと、期待に胸を膨らませけり。 しかれど、鰥夫(やもを)なれども押しかけの 馬女房は望まざりけり。