新編・伊勢物語 第六十七段 ゆのうた 星原二郎第六十七段 ゆのうた むかし、男ありけり。今も男ありけり。 その男、温泉を好めり。 或るいで湯にて湯浴みの後 揺り椅子あれば寛ぎつつ 「ゆ」の字を思ひ浮かべて 歌を ゆらゆらと 揺り椅子ゆらし 湯上がりの 夕(ゆうべ)ゆつくり 夢心地なり と詠み、飽きもせず、再び露天風呂へと行きけり。 〈YU〉の八回の音韻、面白からずや。