第六十四段 冬帝
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十七年 冬至を過ぎ
本格的なる冬の寒さを
迎へむとする頃 歌を
冬帝は 威厳を持ちて 来まします
われはい対ふ 覚悟備へむ
と詠み、年齢を重ねると共に寒さに対する
抵抗力の低下を嘆きつつ
春の女神のほほゑみを待ちのぞみけり。
ちなみにその男、夏の炎帝も年齢と共に
辛さを覚ゆるに到りつつありけり。
春・夏・秋・冬であれば
春の女神の佐保姫か木花之開耶姫 または
秋の女神の竜田姫が、共に厳しき冬帝
夏の炎帝よりも
好ましく思ひけり。
男なればさもありなむ。