第六十二段 本町の赤きポスト
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十七年の年の暮れ
百八通の年賀状を
自宅マンションの近くの本町郵便局前の
ポストに投函し
歌を
本町の 赤きポストに 声かけて
幾千通の 便り出し来ぬ
と詠み、知立に住みて三十年以上
年年の年賀状、個人的な私信、公文書などなど
年に二百余通、三十年なれば六千通以上の投函なり。
もの言はぬポストなれども、頭を垂れ
無事に届く事を願ひ、声を掛けて来ししかば
改めて感謝の念を深めけり。