第六十一段 セントレアに過去と未来を思ふ
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十七年のクリスマスを前に
常滑沖のセントレアを望む
坂井温泉「湯本館」へ行きけり。
露天風呂にあらねども浴室の大窓ガラスの向かふに
離陸・着陸の飛行機を眺めて、歌を
セントレア 今し降り来る 飛行機は
いづくゆ来しや 過去とは何ぞ
セントレア 今し飛び立つ 飛行機は
いづくへ行くや 未来とは何
と詠み、哲学的命題である「過去・現在・未来」を
哲分多き…否、鉄分多き温泉だけに
思索に身体を浮かべけり。