新編・伊勢物語 第五十三段 困りたる夢 星原二郎第五十三段 困りたる夢 むかし、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十七年の肌寒さを感じる頃 奇妙なる夢 つまり、砂漠の国にて難民となり 飲み水にも困り… の夢を見て歌を 困りたる 夢を見れども 夢ゆゑに 困ることなきの 自覚をかしき と詠み、いはば「悪夢なれどもこれは夢なれば心配不要」 と夢の中にても思ひゐることの不可思議なる感覚を持ち 心理学者のジークムント・フロイド先生に 夢判断の診察を受けることを望みけり。