新編・伊勢物語 第五十段 本證寺 星原二郎第五十段 本證寺 むかし、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十七年師走の穏やかなる日 安城は桜井の里の本證寺へと行きけり。 行きて、歌を 家康も 手を焼きしとふ 一向衆 一揆の御寺は 濠をめぐらす と詠み、「南無妙法蓮華経」のお題目を唱へ 死を恐れぬ民衆の恐ろしさと戦ひし、 若き日の徳川家康公の苦悩を思ひけり。