新編・伊勢物語 第四十九段 姫小川古墳 星原二郎第四十九段 姫小川古墳 むかし、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十七年師走の小春日和のある日 安城の鹿乗川流域に点在の姫小川古墳群を調査へと 行きけり。行きて、歌を 古墳(ふるはか)を 護るがに立つ 樟爺の 昔の話 聞きたかりけり と詠み、楠の古木の幹に多く深く刻まれし皺を 年老いし守衛の顔とも見へて問ひ掛けにけり。