新編・伊勢物語 第四十七段 諏訪湖の底に眠る男第四十七段 諏訪湖の底に眠る男 むかし、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十七年十一月のつごもり 信州は諏訪湖畔へと行きけり。 行きて歌を 水底に 信玄公は 眠れるか 秋の諏訪湖の 波かがよへる と詠み、戦国時代の武田信玄公の亡骸を 沈めしとの言ひ伝への信憑性を疑ひつつも 晩秋の釣瓶落としの夕日に見え難く なるまで眺め続けけり。