新編・伊勢物語 第三十三四段 土竜の咎 星原二郎 | isemonogatari2のブログ

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第三十四段 土竜の咎

むかし、男ありけり。今も男ありけり。

その男、ある公園で捕獲された土竜を見掛けけり。

土竜の罪は何であろうか?「田畑や公園を荒らす害獣」それが、土竜に付けられた罪状であろうか?しかしながらそれは、人間側の一方的な価値観と思ひけり。

土竜は土の中にあって昆虫類を捕食するしか生存の(わざ)はなく、それを否定されることは即ち生存権の剥奪に当たると思ひければ、歌を

 捕らへられ 陽に晒されて 哀れなり

  土竜の咎は 生きゐることか

と詠みしかど 衆人環視の中、

土竜を救出することは叶はざりけり。