新編・伊勢物語 第三十二段 鎌倉街道 星原二郎第三十二段 鎌倉街道 むかし、男ありけり。今も男ありけり。 平成のある年のある日、その男、三河と尾張の 国境なる歌枕の地、二村山へと行きけり。 行きて歌を 「右みかは左なるみ」の 道しるべ 二村山の 秋は寂しも 義経も 西行法師も 通りけむ 鎌倉街道 落ち葉降り積む と詠み、幕府のある鎌倉と京都を行き来せし 数多の旅人の旅姿を思ひ浮かべ佇みけり。