第十八段 埋蔵金
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十七年のある日、知立の歴史を調べけり。
そが中に戦国時代、織田方に付きし知立城主、迫り来る
今川義元が率いる大軍を前に軍資金を秘かに隠しぬ
との言ひ伝へあるを知りけり。
埋蔵せし武士らは自白せず
処刑されしといふ。しかして、埋めし所を示す言葉を
遺しけり。そを知りて歌を
わが町にも 埋蔵金伝説 つたはりて
謎解く鍵の 言葉に対ふ
と詠み、その言葉「朝日の輝くところ
夕日の照らすところ」とは 何を意味し、何処なりやと
朝日の輝く頃より、夕日の照らす頃まで、書斎の
机に頬杖をつきつつ知立の古地図を見つめけり。
されど、謎 解けしかはさだかならざるなり。