第十七段 タイムマシン
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十七年の秋
長久手にある古戦場跡へと行きけり。
行きて歩き廻り、疲れてはベンチにて休みけり。
ベンチに憩ひ、タイムスリップせむと、
特製にして即席のタイムマシン「ベンチ号」を操作し、
時代設定を天正十二年(西暦一五八四年)四月九日の
合戦当日として歌を
日溜りの ベンチがわれの タイムマシン
眼を閉ぢて いざ旅立たむ
と詠み、しばしの間、戦国時代へと時間旅行に行きけり。