第十四段 豊かなる三河の海
むかし、男ありけり。 今も男ありけり。
その男、平成のある日の新聞記事にある地方の漁師等が豊かなる漁場を守らむと行動を起せりと知り注目しにけり。豊かなる漁場を守らむとする為に彼等の採った行動とは「風が吹けば桶屋が儲かる」式とも思へる遠大なる計画なり。
そは海に流れ込むその地方の河川の上流域の山に植樹し環境を守る事が必要と考へ実行に移しけり。
上流域の山々が豊かになれば、ミネラルを豊富に含んだ流水、海へと注ぎ豊かになるとの理論なり。
「急がば廻れ」なり。この事にいたく感動を覚え歌を
豊かなる 海守らむと 漁師らが
川の上流の 山に木を植う
と詠みて、参加せし多くの漁師の行動を褒め称へけり。
して、その男の住む三河の大河である豊川と矢作川にも
かかる運動の必要性を甚く覚えけり。