第十三段 勧告
むかし、男ありけり。今も男ありけり。
その男、竹馬の友どちありけり。
その友どち、人の道に背き泥沼になむありければ、
印籠を渡すべく思案しにけり。
かかる頃、アメリカの映画俳優の
チャールズ・ブロンソン氏の
逝去の報道に接し、歌を
男とは かくあるべきと 寡黙にて
態度で示しし ブロンソン氏逝く
と詠みて、竹馬の友へ送りけり。
送りつつ、生涯の友を失ふことを思ひ慟哭しにけり。
しかして、この日より虚無主義もありなむと諾ひにけり。