金沢大「殴られた、見たね」「はい、わかりました」で見ていないと認め解決金支払(医学部大学等48) | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

金沢大学医学部「殴られた、見たね、安田君!」「はい、わかりました!」で、裁判で殴るのを見ていないと認めて解決金支払い、吉本被告本人尋問(医学部大学等事件48)

 吉本谷博・金沢大学教授は、不正経理を理由に平成19年3月16日に出勤停止2ヶ月の懲戒処分を受け、平成27年7月に辞職しましたが、吉本教授および金沢大学を被告とする裁判は現在も一審です(金沢地裁平成19年(ワ)第305号と同平成23年(ワ)第281号の併合事件)。

 今回お示しする、「殴られた、見たね、安田君!」「はい、わかりました!」が起きた時期は、時系列では次の通りです。


1、時系列

H18.1頃 吉本教授による不正経理の是正を金沢大学本部に相談。
H18.2 吉本教授が不正を解消すると言ったので解決するかに思えたが、突然否認に転じ、金沢大学は3月に不正なしの結論を出し、裁判所調停も含めて約1年間の不正有無の争いに。
H18.7.14 吉本教授が、「警察来たら楽しい」と発言(発言の録音が本物だと吉本被告は訴訟で認めた)。
H18.7.18 吉本教授が、小川が同一の日(7.14)に「朝一番に出勤した」と「1日中職場に現れず欠勤した」という、一見してあり得ないとわかる報告書2通(吉本被告が裁判で証拠提出)を作成して事務部長に提出していた(のちに、事務部長から矛盾などは指摘されなかったと吉本被告が法廷で証言)。
H19.3.16 不正経理で吉本教授が出勤停止2ヶ月の懲戒処分
H19.5 小川が吉本教授を提訴。
H20.1.10 金沢大学医学部が学生による授業評価結果を配布し、研究室教員中で小川が最高の評価であった(甲第15号証、吉本被告も本物だと認めた)。
H20.3.13 「殴られた、見たね、安田君!」「はい、わかりました!」発生。
 第三解剖(現在の名称は神経解剖学)の小澤健太郎研究員(訴訟の被告になった直後に京都大学へ、その後奈良県立医大へ)が吉本研究室に来ていて、ただちに警察への通報役を申し出た。
H20.3.19 小川に何の連絡もない状態で、教授会で「傷害事件が起きたので、傷害事件調査委員会を立ち上げた」と部局長が報告していた
 吉本被告は、この日まで出勤していながらこの教授会を欠席し、同日、警察へ被害届を出すとともに、翌日から約10日間仕事を休んだ。
H20.4頃 「調査委員長」を名乗る井関尚一教授が小川を訪たため、警察へ提出した証拠(当然、無実を証明するための資料)を委員会にも提出すると小川が申し出たところ、受け取りを拒否。
H20.7.2 教授会で、井関教授ら作成の事件報告書が配布された。
 後にこれを知った小川が、個人情報開示請求したところ、内容部分は全て黒塗りで開示され(つまり本人にも見せられない)、井関委員長以外の委員の名前は記載が無かった(黒塗りではなく元々記載なし)。
 この配布の教授会で、第三解剖(神経解剖学)の小川智教授が退職の挨拶をし、若くして辞職、尼崎東診療所を経て下越病院(新潟県)へ。
H21.11.11 別件訴訟(金沢地裁平成20年(ワ)第569号事件)で、被告側(中沼安二・研究科長と井関尚一教授)が、教授会およびその議事録掲載で原告小川の名誉回復措置を行うことで和解。
H24.4.27 殴るのを見ていないと認めた安田職員が、別件訴訟(金沢地裁平成22年(ワ)第50号事件)で、被告として、原告小川に解決金を支払うことで和解
 同訴訟で、先述の小澤健太郎被告は、労災請求を取り下げることで和解(詳細は医学部大学等事件1と2)。
H28.10.24 吉本被告が、告発されたのは不愉快で報復したいという気持ちはあった、と尋問で証言。


2、「殴られた、見たね」の録音反訳

 録音とセットで証拠提出(甲第64号証の1と2)し、吉本被告が既に本物だと認めたもので、「オッッッガワ先生に殴られて」と抑揚をつけてからかう口調で発言するとともに、のんびりした口調で「あいたー」と数回発言しています。

 後に裁判で、吉本被告は、受傷部位の主張を頭から顔に変更し、倒れて頭を強打したという主張から、倒れなかった、頭は打っていないという主張に変更しました。

 また、CTスキャンをとってもらいます、と言いながら、その日はCTスキャン装置がない遠方の羽柴クリニックへ行っただけで、処方された鎮痛薬などを受け取らなかったこと、後にMRIで加齢性変性疾患の「変形性頚椎症」と診断され、カルテに「No traumatic lesions」(外傷性の損傷なし)と明記されていることなどが、この裁判で判明しています。


⚫️甲64号証の2の、録音反訳13
13の1
13の2

 以下は、吉本被告が殴られたと主張し、原告小川がデッチアゲだとするこの件についての、吉本被告および原告小川の本人尋問調書から、一部を引用します。

3、小川はいきなり後ろからつつかれた

⚫原告小川本人尋問調書(裁判所作成)109ページより引用
(質問者は川崎裁判官)
問い:そこに後ろから吉本さんが入ってきたと。
答え:後から考えると、入ってきてたわけです。
問い:入ってきたところは見てないけど、恐らく入ってきたんではないかと。
答え:入ってこないとここにいないですから。
問い:それで、後ろから突かれたということですけれども、つつかれたわけですね。
答え:はい。
問い:録音を開始したのはどの辺りなんですか、その時系列で。
答え:だから、つつかれて、何か動きをしてるなと感じて、そこで録音のスイッチを入れたんです。その後、殴られた、見たね、安田君です。
問い:その現場なんですけれども、吉本被告はどこが暴行の現場だという前提で、見たねというふうにおっしゃってたかというのは、あなたは分かりますか。
答え:どこが前提というのは、恐らく、それ以降のいろんな主張とか、警察で聞かれたこととかを総合しますと、恐らくその図書室内で私がつつかれた場所辺りで、そこで肘鉄を食らったという主張なんだろうと思います。
<引用ここまで>

4、受傷したと主張する部位を頭から顔に変更

●吉本被告本人尋問調書(裁判所作成)第99ページ
(質問者は新谷裁判官)
問い:最終的に殴られたと。で、頭は殴られてないんですか?
答え:頭じゃないです。頬です。
問い:頭は最終的にどこかに打ったんですか?
答え:いや、打ってないです。
<引用ここまで>


5、なぜ見ていない安田さんに「殴られた、見たね」

●吉本被告本人尋問調書(裁判所作成)第110ページ
(質問者は川崎裁判官)
問い:どうして、殴った現場を直接見た鶴見さんじゃなくて、安田さんなんですか。
答え:鶴見さんは私のほうを見てたので、殴った瞬間は見てましたので、私は確証を持っていました。
問い:いや、だから、わざわざ安田さんに見たねという必要もないんじゃないかなと思うんですけど。
答え:そういう点は、何というか、やはり見たという証人が多ければ多いほどいいということが働いたんだと思います。
<引用ここまで>


6、小川はどうやって吉本を認識したというのか

●吉本被告本人尋問調書(裁判所作成)第97ページから
(質問者は新谷裁判官)
問い:図書室に入る前に、原告が扉の真ん前に立っているという状態を、あなたは分かったんですか。
答え:途中からわかりました。
問い:途中から。
答え:廊下を歩いて行くときに。
問い:図書室に近づいて行って、ある段階で分かったと。
答え:分かりました。
問い:入るためには、避ける必要があるということも分かったんですか。
答え:そうです。
問い:原告に声はかけなかったんですか。
答え:かけなかったと思います。
問い:入るために、入りますよとか。
答え:声をかけなくても入れるくらいの空間はありました。
問い:殴られたときのあなたと原告の近さというか、距離はどれくらいですか。
答え:殆ど隣です。
問い:接触するくらい。
答え:そうです。
問い:右頬と肘以外が接触するくらいの位置ですか。
答え:はい。
問い:原告が、あなたの頬を殴るまでの間に見ましたか。
答え:原告が私をですか。
問い:はい。後ろにいるなということを確認したりはしてましたか。
答え:それはちょっと記憶にないですけれども、いきなりだったので。私が入って、鶴見さんに声をかけるかかけないかで、いきなりだったので。原告が私を見たかどうかは、ちょっと記憶にありません。
問い:声をかけるかかけないかで、いきなり肘鉄で打たれた。
答え:はい。
問い:原告は、あなたの位置関係を認識して、肘鉄をしたということ。
答え:思います。ええ。
問い:一瞬でここにいるなとなぜ認識できたんですかね。
答え:・・・・・。
<引用ここまで>
*引用者注:答えの「・・・・・。」も正確に引用しており、無言で答えなかったという意味の裁判所書き取り。
(つづく)