医療事故22、金沢大学カフェイン併用化学療法で患者死亡の教授書類送検事件の横浜講演スライド詳報8 | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

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医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

医療事故22、金沢大学カフェイン併用化学療法で患者死亡の教授書類送検事件の横浜講演スライド詳報8

 前回ご案内しました、金沢大学カフェイン療法死亡事件の厚生労働省への通報を漏洩された件での国賠訴訟の口頭弁論が、予定通り、7月22日(金)午後に東京地裁で開かれました。

 次回は、10月14日(金)午後1時15分に、東京地裁第709号法廷で開かれる予定です。


 さて、以下は、金沢大学カフェイン併用化学療法での患者死亡で整形外科教授らが書類送検された件の、横浜講演のスライド詳報の8回目です。

 次の***間の事件概略は、前回と同様ですので、ご覧になった方は飛ばしてお進み下さい。

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 金沢大学が約27年前(1989年)に開発し、2010年当時はまだ「先進医療」に認定されていた「カフェイン併用化学療法」という、抗がん剤にカフェインを併用する治療法で、それほど進行していないがん(手術で原発巣が除去ができて、画像診断で遠隔転移が認められなかった、骨肉腫という骨のがん)の16歳少女が、併用投与の約11日後に死亡し(2010年3月)、遺族が整形外科教授ら医師3名を、業務上過失致死罪で刑事告訴しました。
 
 致死性の心毒性を持ち、心機能異常では禁忌(投与してはいけない)と医薬品添付文書(医療者向け説明書)に明記されているアドリアマイシンという抗がん剤と、カフェインの併用投与を、心機能が大幅に急低下した検査結果が出た後も行って、その約11日後にアドリアマイシン心筋症による心不全で死亡したものです(次のスライド162)。


162
 2013年10月1日に、私がこの死亡事案などを厚生労働省に通報したところ、翌日、中谷大作・先進医療専門官(当時。後に、国家公務員法第100条(守秘義務)違反で戒告処分を受け、その直後に大阪大学病院循環器内科に戻った)により土屋教授へ通報者情報を漏洩され、厚労省課長補佐による私への虚偽説明などを経て、2014年9月1日、国(厚労省)と中谷氏個人を被告として損害賠償訴訟を提起しました。

 この提訴の10日後に、厚労省は、「カフェイン併用化学療法」の先進医療認定を取り消しました(それまで、記者や私が尋ねても「取り消さない」と突っぱねていたのですが)。また、その後、治療成績の過大報告を行っていたことなども判明しました。

●医療維新2015.6.5記事
「金沢大、先進医療全停止相当と見解、厚労省 カフェイン併用療法めぐり、有効性過大報告などの問題」より一部を引用
http://ameblo.jp/jpmax/entry-12041590691.html

 上記の私と国、中谷被告との訴訟で、被告国は、中谷被告が漏洩したメールを乙1号証として証拠提出して、漏洩行為自体は認めていますが、それ以外の幾つかの点は争っています。

●医学部大学等事件17
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12142040963.html

 患者急死から6年以上、厚労省への通報と漏洩から2年半以上、金沢大学病院が死亡事案を倫理違反とは別の新たな調査委員会を立ち上げて調査すると記者発表してから1年半以上が経ちましたが、未だに死亡事案の事実関係の調査報告が見当たらない状況です。

 今回や一連のスライド詳報でお示ししているのは、次の横浜講演のスライドです。

●神奈川県保険医新聞、2016.1.25

神奈川1
神奈川2
●スライド詳報1
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12123583469.html

●スライド詳報2
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12126207325.html

●スライド詳報3
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12129189641.html

●スライド詳報4
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12134221661.html

●スライド詳報5
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12144208962.html

●スライド詳報6
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12147485745.html

●スライド詳報7
http://ameblo.jp/iryouziko/entry-12179289207.html


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カフェイン療法死亡横浜講演スライド詳報8

 以下が、今回のスライド詳報8で、主に、治療成績の誇大報告が判明したこと(生存率が100%と発表した論文まであり)と、心機能がどれくらい低下した場合にアドリアマイシン投与を中止するかについての教科書類の記述と、死亡事案での投与続行(約11日後に死亡)との比較などについてです


●スライド121、部分もくじ
121
●スライド123、治療成績誇大報告などの記事その1
123
●スライド124、治療成績誇大報告などの記事その2
124
●スライド125、治療成績誇大報告などの記事その3
125
●スライド127、生存率100%という土屋教授らの論文
127
●スライド129、金沢大学整形外科HPの宣伝(死亡の約3年半後)より
129
●スライド131、中止基準、毒性増強と機序の目次
131
●スライド133、アドリアマイシン心毒性で死亡率50%の論文
133
●スライド134、中止基準、毒性増強と機序の目次
134
●スライド136、がん治療副作用対策マニュアル1
136
●スライド138、がん治療副作用対策マニュアル2
138
●スライド140、研修医、看護師、薬剤師向けマニュアル1
140
●スライド142、研修医、看護師、薬剤師向けマニュアル2
142
●スライド143、死亡事案の検査結果報告書より
143
●スライド144、投与量の心機能大幅急落のグラフ
144
●スライド145、中止基準、毒性増強と機序の目次

145
(つづく)