淀川長治先生の名調子と共に
セシル・B・デミル監督作品、アメリカ、116分
グロリア・スワンソン様、トーマス・ミーアン様、ライラ・リー様、ジュリア・フェイ様、
セオドア・ロバーツ様、レイモンド・ハットン様、ビーブ・ダニエルズ様他
昨年、グロリア・スワンソン様の自伝を拝読した時、用意して、
一年半寝かせて熟成させた?巨匠、セシル・B・デミル監督のサイレント映画。
DVDの映画上映前に、淀川長治先生の解説を拝見・拝聴出来ます。
先生、11歳の時にこの映画をご覧になり、
親族に「この映画は面白い、観なきゃ」と電話かけまくりで呼び寄せ、
御自分も二回目、ご覧になられたと。まあ~、先生でなかったら「ませガキ」と書きそう。
キスシーンがあったり、当時にしては露出度の高い衣装も話題になったそうです。
一年半たってしまいましたが、スワンソン様の著書によると、
映画撮影、ロケーションも行われ、泳げないスワンソン様が海に飛び込んだり。
本当にライオンに踏まれたり。
日本でも黒澤監督が三船敏郎様に、『蜘蛛の巣城』で、本物の矢を放ってますが。
今なら、トム・クルーズ様以外、許されない危険度の撮影を敢行されたもよう。
また、イグアナ?蜥蜴?陸亀?お猿さん等々、色々なイキモノも本当に登場します。
まあ、それだけやらせれば、後年『サンセット大通り』に実名で登場し、
「忘れられたサイレントの女王」役のスワンソン様をその場だけでも耐えてあげる役、
して下さってもいいというもの・・・かな?監督?
さて、お話は・・・英国の貴族の一家、遅い朝。
令嬢メアリーは、目が覚めてから、枕もとの鐘を「ご~ん」と鳴らすと、
召使がやって来る。そして、薔薇水のシャワーもあるバスルームで入浴。
優雅に朝ごはん。
心中彼女を想う執事。執事を想うメイド。
一家がボートでの旅行を計画しているところへメアリーの親友が登場。
父親の運転手に恋していて、身分違いでも結婚したいことを告げられ、
「あり得ない」とメアリーお嬢さまご立腹。
この親友が、クライマックスでも登場。重要なキーポイントとなってます。
そして、父、妹、恋人、執事、メイド等と出た海の旅で船が難破。
無人島での生活がはじまると、知恵が働き、行動力もある執事。
めきめき頭角を現し、立場は逆転、孤島の王者に。
当初は貴族意識があった父も盗み食いするありさま。
それでも、メアリーに忠実だった健気なメイドも、だんだんと同等に。
女性陣は、彼に配膳する係を奪い合う状態。
王座に構える執事だが、心中はメアリーのことをずっと想っていて、
メアリーがライオンに襲われそうなところを救った時、遂に、
二人が共に読んだ詩から、バビロンの王と奴隷の女の幻影が展開。
心を確かめ合い、二人は結婚することに・・・だがしかし・・・
状況によって、組み合わせは変わるものの、
ニンゲンは「階級」を持ちるづける。冒険あり、ロマンスありとはいえシビア。
それでも、最後、別天地を求めた執事も幸福になったショットもあり、
冷徹でありながらも、温かい視線で登場人物が描かれている、
思い切り楽しめる一作でありました。
(と、感想を書くのもおこがましい名作だが)
バビロン画面にて、スワンソン様ご着用の白い孔雀の羽はあまりに有名。
ラストに並べました。ご堪能あれ☆
昨日の当日記事次点はこの方に・・・
妖しい遺伝子の正しい継承。