とことん間が悪い悲劇
2004年、ヴァディム・パールマン監督作品。(アメリカ)
ベン・キングスレー様、ジェニファー・コネリー様、ショーレ・アグダシュルー様、
フランシス・フィッシャー様、ロン・エルダード様他
夫に去られ、酒、薬に溺れていたキャシーは、郡から税金滞納で、
亡父から相続した海辺の家を差押えられ、手違いもあり、即刻競売にかけられてしまう。
彼女の立ち退きに立ち合った副保安官は、妻子がある身でありながら彼女に惹かれる。
一方、政変でイラクを追われ、アメリカに亡命したベラーニ大佐は、
本国では上流階級だった立場から、工事現場や売店販売員の仕事しかなく、
娘の結婚、息子の進学、愛する妻の為、こつこつと生活費を稼ぎ貯蓄する日々。
帰宅前には、ホテルのトイレで、仕事着からスーツに着替え、
落ちぶれ、苦労する姿を家族に見せないようにする大佐・・・
家の競売の記事を見つけ、亡命前、別荘として持っていた家と似た、その物件を、
なけなしの貯蓄で購入。転売することで、資産運用をしようとする。
乗り込んでいっては、それを妨害するキャシー。
それぞれが、自分達なりの幸福を追っているだけ。
しかし、「家」の問題が、微妙なずれで、逆恨みや誤解が連鎖していく。
いやもう、徹底的に、救いようがない鬱々した悲劇で埋め尽くされた物語。
親切さえ婀娜になり、最後には、自殺しようとしたキャシーだけが生き残り、
彼女の鬱気質と、キレ気味の副保安官に巻き込まれ、地道に幸福を追った大佐一家は全員死亡。
副保安官は殺人で投獄。彼は自業自得にしても、不倫された上捨てられた妻子のお気の毒さ。
「ラスト、あなたの涙は止まらない」って感じの売り文句でしたが、
いやもう、不幸づくめというか、周囲巻き込み型の強烈鬱に「勘弁してくれ」というか。
ご自身が、同じ亡命者の、母役ショーレ・アグダシュルー様(ちょっとアン・バンクロフト様似)の、
家庭に愛情を充たしている存在感が、唯一の心の救い(逃げ処?)でありました。
常に他人に頼りたい気質の面倒なヒロインを演じたジェニファー・コネリー様、
早く家に帰って、息子さんを抱きしめたいと思われたとか。解るわあ。
+1枚は、あ、「タイタニック」の母ちゃん(他、あちこち)、弁護士さんでご登場。