「風と共に去りぬ」
「After all, tomorrow is another day」
「明日は明日の風が吹く」という翻訳が有名な台詞。
南北戦争を挟んだ、アメリカ南部を舞台にした、
壮大な物語の最後、主人公スカーレット・オハラが、
言い放つ一節。
二夜連続で「神様」ご登場で、収まりようがなくなった為、
落とし処で、有無を言わせぬお方にご登場願いました。
Katie Scarlett O’Hara(スカーレット・オハラ)様。
「明日は明日よ」と言ってしまえば、怖いものなし。
1926年からMargaret Munnerlyn Mitchell
(マーガレット・ミッチェル)様が、執筆を初め、
1929年頃、ほぼ完成していたと思われる、この長編小説。
全くの偶然から、世に出ることになったのが1936年6月30日。
小説発表直後に、部下の進言により映画化権を買ったのが、
タイクーン、プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニック様。
小説は瞬く間に社会現象となり、主演女優決定に2年を要した映画。
今や、この小説と映画は一心同体。
スカーレット・オハラ様=Vivien Leigh(ヴィヴィアン・リー)様。
ベティ・デイヴィス様、キャサリン・ヘプバーン様、ノーマ・シアラー様、
ラナ・ターナー様、スーザン・ヘイワード様等々がスクリーンテスト。
メラニー役はオリヴィア・デ・ハヴィランド様の妹、
ジョーン・フォンティーン様に始めオファーがあったのを、
主役でないとやらない、とスカーレット役を狙ったものの却下。
ポーレット・ゴダード様がほぼ決定までいったところで、
チャールズ・チャップリン様と未婚のまま同居していたことから、却下。
そこへ現れ、即決に至ったのが、「嵐が丘」撮影中の、
ローレンス・オリヴィエ様を追うと同時に、スカーレット役を追って、
撮影開始のアトランタ炎上シーンの現場で、セルズニック様に、
「ここにスカーレットが居る!」と言わせたというのは、作り話。
半年以上前から、台詞(南部なまり?)を練習し、
オリヴィエ様の根回しで、セルズニック様、当初の監督、
ジョージ・キューカー監督と対面。スクリーン・テストも済ませて、
炎上シーンの時には、既にスカーレット役をゲットされておられました。
なにはともあれ、ようやく5カ月に及ぶ撮影開始。
♪お金は大事だよ~♪という、保険のCMがありましたが、
幼馴染のアシュレー・ウィルクス(レスリー・ハワード様)を陥落すべく、
ウェストを絞り込み、肩を露出させ、乳母のマミーに苦い顔をさせる、
スカーレット様。マミー役、ハティ・マクダニエル様、この映画で、
黒人初の、アカデミー賞(助演女優賞)受賞。
スカーレット様、アシュレー様にアタックするも、
「僕はメラニーと結婚する」と拒絶され、しかも、その愁嘆場を、
初対面のレッド・バトラー様(クラーク・ゲーブル様)に聞かれちゃう。
始めて「風と共に去りぬ」をテレビ放映で拝見した時、
スカーレットの吹き替えが栗原小巻様だった。
あの「アーシュレイ、アーシュレイ、愛してるわ」
という甘いフレーズのお声、忘れられん。
撮影現場のスナップ。
ジョージ・キューカ監督を振り出しに、ヴィクター・フレミング監督、
サム・ウッド監督と回りに回り、最後は再びキューカー監督へ。
クレジットは、最も長く撮影されたフレミング監督。
フレミング監督の降板理由は、ノイローゼー。
その理由は、ヴィヴィアン様の頑固さ・・・とも言われています。
一番、暢気だったのは、当時、新人イングリット・バーグマン様に
恋心を抱き、ウキウキのレスリー・ハワード様だったらしい。
当てつけがましく、破れかぶれで、メラニーのお兄さんの求婚を、
承諾して結婚して、すぐさま、戦争で未亡人になるスカーレット。
未亡人生活が退屈で、アトランタの義姉メラニーの元へ。
アシュレーに会う機会があるごとに粉をかけるスカーレット。
しかし、どうしても落ちないところが、スカーレットを駆り立てる?
アトランタでは、レットとも再会。
義捐金の為のバザーで、大人しく「喪に服している」のが嫌な、
スカーレットに、ダンスを申し込むレット・バトラー様。
「あんたにゃ、俺のような男がお似合いだ。」
スカーレット様以外は、読者も観客もそう思ってる。
レット・バトラーそのものなクラーク・ゲーブル様。
ミッチェル女史のイメージも、全米規模でのアンケートの結果も、
断トツでゲーブル様。・・・だけど、ご本人は、
国民規模な程の、期待の大きさから、それを裏切る怖さで、
演じたくなくて、一度は断られたと言います。
撮影中も、「役者やめて、畑耕す~!」と苦悶の日々だったそうで。
しかし、ゲーブル様の映画で、今でもたやすく入手、拝見出来るのは、
本作と「或る夜の出来事」「モガンボ」「荒馬と女」。どれも素晴らしい。
やっぱり他の人のレット・バトラーは考えられない。
当初は優勢だった南軍も、敗退の兆し。
野戦病院を手伝う、スカーレットとメラニー。
ああ、原作、ちょうどこのへんでリタイアしたんだわ。
いつもいい人、天使のようなメラニー様が、むごたらしい状態に、
気持ちが悪くなって吐いちゃう場面があって、印象的でした。
苦手だったなあ。優等生メラニー。
今にして思うと、そりゃ、妻にするならメラニーだわって思いますが。
実際は、ヴィヴィアン様の見るからに激しそうでいて率直な生き方より、
アカデミー賞競争などから、未だに、姉妹断絶で犬猿という、
オリビア・デ・ハビランド様(日本生まれ!)の執念が格段恐いけど。
この夥しい負傷兵、エキストラが足らず、多数の人形を使用。
エキストラの人達が、人形につながった装置で、人形を動かしてます。
アトランタ攻落という時、メラニーが産気づいたのを出産させ、
こんな戦争、負けると言って出征しなかった、レットが、
この期に及んで、「ここまで来れば大丈夫」と、
スカーレットにキスをして、一行と別れ、戦争へ行ってしまう。
北軍に略奪され、家具も食料もなく、荒れ果てたタラの家。
わずかに残った綿畑の収穫も、自分達でしなくてはならない日々。
二度と決して、どんなことをしても飢えはしないと誓うスカーレット。
アシュレーの帰還。このマミーの表情がいいわ。
食べるにこと欠いている状態の中、北軍からは、
土地に対する莫大な税金がかかって来る。
捕虜になりながら、お金があるので自由にふるまっているレットが、
町にいることを知り、カーテン生地でドレスを創り、装って、
借金を申し込みに行くスカーレット。借金には失敗。
このカーテンドレスに、「うわあ、綺麗じゃあ」と思ったものですが、
今、拝見しても、美しい。ヴィヴィアン様の緑の瞳に映えるグリーン。
ヴィヴィアン様、初めの旦那様との間のお孫さんが、
片目がグリーンでらっしゃるのだそうです。
こんなパロティもありました。カーテンレール付き、カーテンドレス!
レットからの借金には失敗したものの、妹の彼氏の景気がいいと知り、
しかし、「平穏無事」ってのはこの人の周囲には無縁。
事件が起こり、善良な夫は死亡。再びスカーレットは未亡人に。
さすがに今度は落ち込み、アルコールにおぼれるスカーレット。
そこへレット・バトラー再登場。真面目にプロポーズ、遂に結婚。
子供にも恵まれ、束の間、幸せなお似合いカップルに。
でも、影を差すのは、やはりスカーレットのアシュレーへの想い。
スカーレットという赤がありますが、まさにスカーレット色のドレス。
激動の歴史ドラマから、果てしない心のすれ違いドラマへ。
お互いが想い合っているのに、タイミングがことごとくずれる夫婦。
口論のはずみで階段を踏み外し、流産するスカーレット。
マミーとメラニーの心配。でも、ちょうど、スカーレットがうわごとで、
「レット、レット」と呼んだりする時は、二人とも傍にいないんだなあ。
ひょんなことからスカーレットとアシュレーの不倫疑惑まで勃発。
その上、スカーレットへの自責の念、充たされない想いをも全て注いで、
レットが溺愛した娘が、落馬し、不慮の死を遂げてしまう。
たたみかけるように、今度はメラニーが死亡。
激動の時代とメロドラマだから許される、死者の多過ぎ。
スカーレットはここに来て、レットだけを愛している事を認識するが、
逆にレットは、ようやくスカーレットへの想いを断ち切り、去って行く。
「ああ、レット、レットを失ってどうすればいいの・・・
そうだわ、タラに帰って考えよう、明日はまた違う日になるもの。」
って・・・この強気で進む人、これからどうするんだろう?って、
長いこと考えてました。レットを追いかけるのか?
色々な人に「これからどうなると思う?」と聞きましたが、
うちの、身も蓋もない性格の母親が一刀両断「あれで終わり。」
はい。続編なるものを書いた小説が出て、よりが戻ったりしてましたが、
架空の話ながら、やっぱ、ないな。
新たな相手をお互い探すんだろうな~、が最近の「予想」です。
ちなみに、悲劇の女優と語られることが多いヴィヴィアン様ですが、
サー・ローレンス・オリヴィエ様との離婚の後、
7歳年下の俳優、ジャック・メリヴェール様とご結婚はされないながら、
7年を、共に穏やかに暮らしておられました。
亡くなる直前は、可愛がっていたシャム猫と眠っていらしたそうです。
ヴィヴィアン様がおっしゃってます。
「あれは私じゃない。私の本質じゃない。
私が演じた〝もの〟でしかない。」そりゃそうでしょう・・・という事で、
ヴィヴィアン・リー様については、また改めて。