「キング・オブ・ハイC」
ルチアーノ・パヴァロッティ様
1935年10月12日~2007年9月6日早すぎるご逝去。
驚異的な高音を持つテノールにして、
軽やかさ、強い響きをもあわせもつ、
音楽の神に祝福された声の持ち主。
どうも、「ハイC」っていうと、商標を思い出しますが、
もちろん音域を現わす「ハイC」。
私、クラッシック、聴くのは好きだけど、
全く詳しくありません。なので、パヴァロッティ様、
ミーハーに「三大テノール」が入門でした。
何度聴いても、有難み三倍の物凄さ。
燕尾服に弱いし、皆さん好きだけど、ぽっちゃり・・・っていうか、
どすこい好きの私には、パヴァロッティ様が直球。
この、「巻きもの(ストールとかスカーフとか)フェチ」もたまりません。
中尾彬様じゃ駄目なの。この、巻物のチョイスが好き。
3大テノールのコンサートの日本公演が「手抜き」と言われた時、
エッセイで、客席の人達の服装がまるで普段着な人が多く、
服装とは、聴かせて貰うことへの感謝や敬意を現わすので、
そんな聴衆では、やる気をなくさせても仕方ないと、
書いておられた方がいらっしゃいました。けだし名言。
「仕事の後だから」でも、ストールひとつ、アクセサリーひとつを、
プラスするだけで、出来る限りのフォーマルに変えることが出来るのに、
そういう意識が割と低い国かもしれない。日本。
以前、ドキュメンタリー番組で、お父さまと写ってらっしゃいましたが、
そのお父さまが、パン焼き職人であるとともに、
アマチュアのテノール歌手で、歌好き家族でごきげんって感じでした。
環境としても、理想的にお育ちだったんですね。
うんうん、食べっぷりも豪快。
イタリアの、この、パスタをどーんと盛り付けたのを、
がんがん取り分けて食べる風景、
すごく美味しそう。チーズもばっさばっさすりおろすし。
かくして、美声にふさわしい、どすこい体型の出来上がり。
聴衆を前に、いつも完璧な「パヴァロッティ」様ですが、
完璧である為に、そうできない時は、
「キャンセルの王様」でらしたそうで。
シカゴのリリックオペラでは、8年の間に41回の公演のうち、
何とも、26回をキャンセル!半分以上!
「激怒した同オペラの支配人から、
1989年に終身出入り禁止を言い渡された」
って、そうでしょう、そりゃあ。
野外コンサートにも積極的でらして、1993年の、
セントラル・パークでは、50万人、
同年のエッフェル塔前では30万人もの聴衆。
・・・って、それだけの人数が入れるスペースがあるってのも、
すごいなあと思います。確かに、どんな片隅でも、聴きたい。
写真は3大テノールの時の?と思いますが、
あのコンサートも野外の印象が強いです。
のびやかなお声に、天井のない自然がぴったり。
ダイアナ妃とも交流がおありで、
追悼式典での歌唱をオファーされた際、
悲し過ぎて唄えないと、断られたといいます。
お人柄を感じさせるお話しと感じました。
本当に、おしゃれにも「完全主義」が感じられますわ。
それほどの生き方、「キャンセルの王様」が、
2006年のトリノオリンピックの開会式で、
「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」を、
オリンピック委員会の招待を何度も断りながら、
最終的に、録音でと、口パクを承認され、
それが人生最後のステージになった。
「口パク」ってだいたい解りますよね。
世界中が騙された?それこそ完璧な口パク。
自分を求める聴衆への、最後のサーヴィスも、
パーフェクトなお方・・・
合わせて、オーケストラも録音だった、その指揮者、
レオーネ・マジエラ様が、
「オーケストラは、聴衆のために演奏する振りをしました。
私は指揮をする振りをしました。
また、ルチアーノは歌う振りをしました。
その効果は素晴らしかった」
と著書に書いておられます。
その壮絶なまでの、参加者全員の気迫が、
あれだけの感動を呼んだのでしょう。
オリンピックでの「誰も寝てはならぬ」から、わずか7ヶ月後の死。
棺を向日葵で飾られた、パヴァロッティ様。
10万人が集まった葬儀。国葬並みだったそうです。
あなたの与えてくれる「至福」の歌声は永遠です。
今、きっと、どすこいな天使になられておられると信じます。